昼(リリカルなのは・フェイト×なのは)

 ぽかぽかと暖かい陽気。

 空では燦々と輝く太陽が、窓から光を差し込ませている。

 けれど、部屋の中から聞こえるのは艶が染みこんだ声。

 明るい太陽とは真逆の夜の月のような響きが吐き出されていた。

「ん……っ、あ……」

 真っ新なシーツに皺が寄り、その上を白い素肌が波打つ。

 さらけ出された体は、心までもさらけ出して。

 ただただ、欲する情を含む瞳で、同じ情の瞳だけを映す。

 徐々に火照っていく体が、じりじりと体の芯で炎を燻らせる。

 熱い、と思う理性と、放ちたい、と思う本能がせめぎ合いを始めて。

 気づけば、覆い被さっている体をこれ以上なく引き寄せていた。

「ん?どうしたの?」

 耳元で囁かれた冷静な声が恨めしい。

 自身と同様に息は弾んでいるのに、、それ以上に体も熱くなっている

のに。

 どうして、こんなに理性が残せるのだろう。

 少し、責めるような瞳で見つめると、考えている事が伝わったのか、

困った様に微笑まれた。

「そんな事、ないよ」

 そういう口元はやっぱり余裕が見えて、それが少し悔しくて。

 肩口に噛みつく。

 途端、余裕が消えて、眉が顰まった。

 長い髪を耳に掛けて、視線を流すその先には赤い歯の跡。

 数十分も経てば消えてしまうような跡だけれど。

 今は、くっきりと刻まれている。

「……痛いよ」 

「本当に?」

 咎めるような口調に問うと、こくりと頷かれる。

「本当に?」

 繰り返し聞くと、瞳が瞬いた。

「本当に、痛かった?」

 三度繰り返すと、 その真意に気づいたのか微かに頬が染まる。

「……少し、気持ち良かった…かも」

 満足そうに微笑むと、頬が更に赤く染まった。

 その表情が可愛くて、軽く上半身を起こして、口付ける。

 それが、失敗だった。

 唇を離したつもりが追われて、強く吸われる。

 直接注ぎ込まれる熱が、息どころか意識すら奪って行く。

 朦朧したところに、突き上げられた。

「―――っ!!」

 シーツから体が浮き上がる程の、強さ。

 なのに、塞がれたままの唇は、声を出す事も許して貰えなくて。

 反射的に押し返そうとした手が、腕に爪を立てる。

 肩口の歯の跡よりも、強い強い爪の跡。

 一両日では消えない、情の証。

 それでも止まらない情に、涙が頬を伝った。

 こんなにも苦しいのに、嬉しいと思うのは、おかしいだろうか。

 ぼんやり残った理性が自身に問うけれど、答えは出なかった。

 おかしくても構わない。

 無理矢理でも気にならない。

 きっと、おかしいのは、自身だけではない筈だ。

 何時もは優しくて、気を遣ってばかりの人が、自分を優先させるのは

この時だけ。

 それを見て、感じられるのは、自身だけ。

 高揚する程の優越感が心を支配して、何もかもがどうでも良くなって

しまう。

 もう、他の事は考えられない。

 火傷しそうな熱に翻弄されながら、浮き沈みを繰り返す体で必死にし

がみついて。

 外れてしまった唇から零れるのは愛しさばかり。

 極限まで高められた炎が蒼白い光を放って、目の前でちかちかと火花

が弾け始める。

「……いいよ」

 耳元に落とされた合図はまるで最後の一閃。

「フェイ―――!!」

 呼んだつもりの名前は、声にならなかった。

————————————————————————

 どれくらい眠っていたのだろうか。

 ふと、目が覚めた。

 体に巻き付いている腕を静かに解いて、まだ気怠い体を起こす。

 窓から差し込む光の位置は当初よりも大分動いていたが、まだ太陽は

高かった。

 隣では、安らかな寝息を立てている。

 窺うように肩口を見れば、歯の跡は消えていた。

 代わりに、腕には四本の赤い線がくっきりと刻まれている。

 痛そうだな、と他人事のように思う。

 つん、と突っついても、起きないのは何時もの事。

 布団に潜り直して、解いた腕をもう一度体に巻き付かせる。

 ぽかぽかとした暖かい陽気に誘われるように瞳を閉じて。

 先刻とは打って変わった穏やかな微睡みに、なのはは身を委ねた。


うちの5%のえっちぃ分。

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