お囃子の音が祭りを盛り上げる。
屋台の明かりが軒を並べ、昼間のように明るく道を照らす。
電球の光が柔らかいのは、和紙で包まれているお陰だろう。
丸い堤燈は淡く、柔らかい。
ゆらりと風に揺れる度にその笑みの角度が変わる。
優しい表情に見守られる中、浴衣を着た人々の笑い声が木霊した。
金魚を掬うのに必死な人。
りんごあめを買って貰い、嬉しそうな子供。
腕を組んで、幸せそうに練り歩く恋人。
様々な顔の中で、お祭り騒ぎは続く。
そして、困った顔が一つ。
屋台の後ろで、木に凭れていた。
揺れる瞳が肩に手を掛ける少女を見つめている。

「なつき…ほんまにやるん?」
「うん。私は本気だ。静留」
真っ直ぐに見つめ、頷くなつきに静留は周囲を見回す。
「せやかて、何もこないな所でせんでも…」
「嫌か?」
「嫌…やないけど…」
言いながら、静留の頬が薄紅に染まる。
「なら良いじゃないか」
惑う返事に満足そうに笑んで、なつきは静留の手を引く。
腕を絡め、一歩足を踏み出す。
「…解りました。うちはもう何も言いません。あんたに全て任せます」
決心の固いなつきに、静留もまた覚悟を決める。
「よし。話は決まった」
言って、なつきは静留を引き連れて駆け出す。
「盆踊りは踊る為にあるんだ!!」
「でも、あ●れちゃん音頭はやっぱ躊躇いがありますわ…」
呟く静留の恥ずかしさを無視して、町内会主催の盆踊りサークルになつきは突撃していった。
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