眠りに落ちる太陽。
光の余韻は空気に溶け、幾ばくかの安らぎも夜に消えようとしている。
静まった空気に浅い冷たさが混じり出す。
影が色を増し、部屋の明るさが徐々に薄れる。
止まない静寂に緊張が走った。
伸ばされようとした手が敏感に感じ取り、躊躇う。
ゆっくりと指が折り畳まれる。
それでも堪え切れなかったのか、拳を象った掌は広がり、腕に触れた。
撫でるように肩へと温もりが伝う。
怯えに似た愛しさに惑わされ、引き寄せられるままに体を委ねる。
「好きだよ…」

熱を孕んだ囁きに胸が締めつけられた。
耳元から首筋を辿る唇がその先を求め、指先が胸元の釦を外す。
鎖骨を辿る指先に泣きたくなるような切ない想いがそっと咎めた。
「…駄目…」
好きな気持ちに追いつけない心の開放は胸元を強く握り、逸らされた視線が首を横に振らせる。
惑う震えにこつりと肩口に額が預けられた。
薄い微笑みがぽつりとやるせなさを零す。
「ごめん…」
複雑に絡んだ想いの糸は、今はまだ抱きしめる事しか許さなかった。
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