泣き出した雲から零れた雫は、瞬く間に地面の色を変えた。
アスファルトが鉛色に染まり、さらさらの砂が土へと変わる。
予期せぬ訃報でも入ったのだろうか。
周りの目を気にせず泣き崩れる雲に行き交う人々が慌てる。
その人込みに紛れて古い軒に駆け寄ったものの涙を遮る事は出来なかった。
腕を伝う水滴が繋いだ手を冷たく濡らす。
雲の様子を窺うと晴れ渡った笑顔は遠く、視線を後ろの路地裏へと流し見る。
隣接する建物が鼻先を触れさせているお陰か灰色のアスファルトが鉛色に紛れて残っていた。
手に軽い力を入れて路地へと促す。
不思議そうに瞬いた瞳が意図に気づいたのか微笑んで連いて来る。
堰を切った涙は降り続くものの路地裏に紛れた腕を伝う雫は乾きだす。
ポケットからはんかちを出して、頭一つ下の項を撫でるとぴくんと体が驚いた。

微笑んで見せたハンカチに遠慮する苦笑。
にこやかに無視してもう一度項に手を添える。
冷たい体の熱が微かに増した気がした。
つんと顎を突付くとそっと顔が上げられる。
頬を撫でるハンカチが少しづつ濡れていく。
気を安らがせる瞳に見つめられ、逸る鼓動が肩を竦ませた。
引き寄せられるように唇が近づく。
重なった二人の影に雲の涙はまだ止まない。
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